仙台高等裁判所 昭和28年(う)89号 判決
原判決はその理由のうち第一乃至第四において被告人は藤候補者の選挙運動者林真から選挙運動報酬合計一万八千円の交付を受けたとの事実を、また第五乃至第十四において右金員中合計金一万七千四百円を選挙運動報酬として目黒友雄外四名に供与したとの事実を認定しているが、選挙運動に対する報酬等として供与せんがため金員の交付を受けた者が更にその金員を選挙運動者に供与したときは金員供与罪のみ成立し金員の交付を受けた点は右供与罪中に吸収せられ別罪を構成するものではないのに拘らず原判決はこれを併合罪として認定処断したのは明らかに法令の解釈を誤り事実の認定を誤つたものといわなければならない。しかし所論のとおり論旨指摘の各証拠によれば被告人は起訴状記載の公訴事実第一記載のとおりその日時場所において、いずれも衆議院議員候補者藤二雄に当選を得しめる目的でその選挙運動者である林真から同候補者のため選挙運動を依頼されその報酬其の他の費用として供与されるものであることの情を知りながら同人から金円の供与を受けた事実を認め得るに拘らず原審はこれを原判示第一乃至第四記載のとおり選挙運動者に対する報酬等として供与せんが為交付を受けた如く認定したのは採証の法則を誤り事実の認定を誤つた違法がありその誤が判決に影響を及ぼすことが明らかであるから原判決は破棄を免れない。
(後略)